私がこれまでに経験したことを書くブログ

私がこれまでに経験したこと感じたことを書くブログです。

副腎皮質機能低下症に関する論文を読んでみました2

 

www.sophiated.com

 続きます。

 

「第2部」成人慢性副腎皮質機能不全症の診断、治療の各論

*薬物相互作用

1.投与HC(ヒドロコルチゾン:コートリル)の十分な効果が得られない場合や過剰症状を認める場合には他の併用薬剤との相互作用を疑う。HCの作用を減弱する薬剤として、リファンピシン、成長ホルモン、ミトタン、トコナゾール、チロシンキナーゼ阻害薬、抗てんかん薬、ピオグリタゾンなどがあり、一方、作用を増強する薬剤としてジルチアゼム、シメチジン、アプレピタント、イトラコナゾール、抗レトロウイルス薬などがある。

       <P.48より引用>

 

2.これらの薬剤が併用された場合のGC(糖質コルチコイド)補充量は増量もしくは減量が必要となるが、具体的な目安はなく、個々の症例において副腎不全症状や過剰症状の有無、血中コルチゾール値を参考に、投与量を決定する。

 

→以下の薬剤もGCの作用を減弱させる

①ケトコナゾール(同系統薬のイトラコナゾールには逆方向の作用がある)

チロシンキナーゼ阻害薬(スニチニブ:スーテントなど)

③抗けいれん薬(フェニトイン、バルプロ酸フェノバルビタールカルバマゼピンプリミドンなど)

④ピオグリタゾン

⑤エトミデート(麻酔薬)

 

→以下の薬剤はHCの作用を増強する作用に働くため、併用においてはGCの減量を検討すべき薬剤である。

①ジルチアゼム

②シメチジン、アプレピタント(中枢性制吐薬)

③イトラコナゾール

④リトナビル(ノービア:抗レトロウイルス薬)

フルオキセチンプロザック選択的セロトニン再取り込み阻害薬

 これらの薬剤はCYP3A4の活性を阻害することによりGC代謝を遅延させる。またクラリスロマイシンもCYP3A4阻害作用を有するため、慢性気管支炎などで長期投与している場合には注意を要する。

      <P.48&49より引用>

 

*シックデイ

 →慢性副腎不全症患者約4割が副腎クリーゼを経験しているとの報告がある。健常者におけるコルチゾール分泌量は平常時5-10mg/㎡(20-30mg/日)とされているが、ストレス時には最大300mg/日まで増加することが知られている。

 慢性副腎不全症の患者ではこの生理的分泌量の増加が欠如しているため、ストレスを生じる様々な状況においてはステロイド補充量を調節する必要が生ずる。

 その補充量については、一般的にはストレス侵襲性に応じて増量する。

 例えば、軽度のストレス(発熱、悪寒など)ではHC30-50mg/日あるいは通常内服量の2-3倍量を症状が回復するまで(通常3-4日)投与する。強い肉体的ストレスがかかると想定される場合(全身麻酔を必要とする手術や外傷、出産、集中治療が必要な状態)では、一例として5%ブドウ糖液にHC150mgを加え24時間持続点滴静注、翌日100mgを静注する。副腎機能正常者では手術直後の抜管時にコルチゾールはピークに達し、48時間以内に元に復することが知られているので、副作用を避けるため症状が回復、術後問題がない場合には可能な限り早期に経口的に通常量に戻す。なお下痢や嘔吐の際には非経口的に投与する。また、スポーツなどを行う際には開始1-2時間前に5-10mgのHCを内服しておくと良い。

 副腎クリーゼをきたす患者固有のリスク因子は知られていない。従って、クリーゼを回避するには、普段より副腎不全症の病態、とくにストレス時における補充量増量の必要性について繰り返し患者および親族そしてパートナーへ教育する必要がある。

 副腎クリーゼを発症すると、適切な治療が開始されない場合には急速に症状が進展し意識消失を伴うショック状態に陥る。このような場合に患者との意思疎通が不可能であるため、適切な治療が受けられるよう患者に副腎不全カードを常時携帯させることが必要である。

       <P.50より引用>

 

*医原性副腎不全症

 →長期間生理的分泌量を越える量のステロイド剤の投与を受けている患者においてステロイド剤を中止する際には、急性副腎不全症の発症に注意しつつ慎重に漸減、中止する。

 長期間にわたり生理的量を上回るGCが投与された際には、HPA系は抑制され、副腎からの内因性ステロイド分泌が低下する。そのような状態で急激にステロイド剤の投与を中止すると急性副腎不全症を発症する。内因性ステロイド分泌を抑制するステロイドの量や投与期間については一定の見解はなく、内因性ステロイド分泌の抑制は経口投与のみならず、経鼻的、経皮的、経気管支的投与においても報告されており注意を要する。ステロイド離脱時の続発性副腎不全症に関する疫学データは少ないが、英国からの報告では吸入GC使用後に2900人中23人が低血糖を示した。これらの症例のほとんどが毎日500㎍以上のフルチカゾンの吸入を行っていた。一般的に、ステロイド投与量を漸減し中止に持って行くことが推奨させるが、その方法も一定の見解はないため、経験が少ない場合には内分泌専門医に相談する。

       <P.56より引用>

 

 私の場合はこれが原因と言われています。現在も吸入ステロイドは使っているため影響があるのかもしれません。

 

*徐放型ヒドロコルチゾン

 →副腎不全症の患者では生理的HC補充が副作用防止の観点から重要であるが、現在、使用されているHC投与は放出が早く、内因性コルチゾールと日内リズムを完全に再現することは不可能である。現段階で我が国での使用はできないが、欧州を中心にHC放出時間を遅らせることでコルチゾールの日内リズムを再現する薬剤(modified-release HC, MR-HC)の開発研究が進みつつある。

       <P.57より引用>

 

 コートリルは作用時間(薬が効いている時間)が短いので、健常人と同じコルチゾールの日内リズムを完全再現出来ません(途中で切れちゃう)。

徐放型(徐々にゆっくりと薬が放出されるように工夫されている薬剤のこと)ヒドロコルチゾンが日本でもいつか使えるようになるといいですね!

 

 続きます。